オバマ政権の課題 |
2009年1月20日、バラク・オバマ氏がアメリカ大統領として政権を運営してゆくことになります。
未曾有の経済危機の中、その政策運営が世界中から注目を浴びています。 世界的な経済不況から立ち直るには、アメリカの経済活動が欠かせません。やはり、世界経済はアメリカを中心に動いているといえるからです。
今回、そのオバマ大統領が直面する課題を箇条書きに纏めてみたいと思います。
1、経済対策 2、外交 3、日米関係
1、経済対策について オバマ政権にとって最重要課題は、経済政策です。 基本的に、財政再建<経済活性化の方向性で向かうことになります。
具体的な経済対策としては、 ・中産階級以下の家庭を対象とした減税 ・道路、橋などのインフラ整備などの公共事業(8,000億ドル) ・環境ビジネス
総額73兆円もの資金投入が計画されています。この財政投資による雇用の創出は300万人と考えられています。
特に、オバマ政権が重要視している分野は環境問題であると考えられます。 現実主義者であると分析されるオバマ大統領は、農業や国土の管理、IT・金融などを含めたあらゆる政策を「環境」とリンクさせ、ビジネスチャンスを創造してゆく考えであるといわれます。
オバマ政権の柱は、環境ビジネスとITビジネスであると私は考えております。
2、外交について ・イラク問題 ・アフガニスタン問題 ・イスラエル問題
イラク問題については、アメリカ軍の撤退がオバマ大統領が描く「16か月以内の撤退」となるか否かがカギとなるといえます。イラク情勢の変化によって苦しい状況になることも考えられます。
現在最も重要視すべきはアフガニスタンの問題であると考えられます。 タリバンの復活は脅威です。アメリカとしては、既に打つ手がなくなったといえます。今後は、対話路線を活発に推進し、硬軟含めてタリバンのテロ行為を封じ込める戦略をとるものと考えます。
イスラエル問題に関しては、オバマ大統領も歴代大統領と同様にイスラエル擁護で行くものと考えられます。しかし、今回のイスラエルの行動が強硬である点を踏まえ様子を見ながら対応してゆくことになるのだと思います。
日米問題について オバマ政権が、民主党政権の中では比較的日本を重視しているものと考えられます。 重視といっても、国際関係は、基本的にギブアンドテイクの関係を下地としますので、今後オバマ政権からの要求は多くなってくるものと判断できます。 余裕がないアメリカの状態を反映して、その要求は厳しい内容になりそうです。 結局、民主党政権時の日米関係はギクシャクするものと考えられます。
日本にとっても、オバマ政権とのやり取りは一つの分岐点であると考えられます。 すなわち、ここでアメリカの要求が厳しすぎると、日本は一気に中国と接近することになり今までのパワーバランスが瓦解する可能性を有しているといえるのです。
今後の4年または8年は、日本の国際関係において目が離せない大切な時期であるといえます。
以上、オバマ政権が抱える問題点を、経済・外交・日米関係という三点に絞り大まかに概観してきました。 客観的に、経済問題を軸に日米関係はかなり厳しいものになってゆくと考えられます。 どう対応していくかが大きな問題です。
個人的には、オバマ大統領に対する期待は大きいです。 大きいが故に、アメリカの国益を優先するあまり日本にとっては不利益が発生することになるのではないかと予測しています。
良好な関係を構築し、日米ともに発展してゆくことができる道を模索してゆく必要があると考えております。
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個人としての能力を貴ぶ日本人 |
NHK総合の番組「プロフェッショナル」の人気が高いと言われています。
どうしてそれほど人気があるのでしょうか?
それは、日本人が個人としての能力が高いことを何よりも重要視しているためであると考えられます。
その道一筋であることや、苦労数十年というエピソードにことのほか弱い精神的傾向を持っているものと思います。
精神的構造を最もよく示す事例として、太平洋戦争時の日米における航空戦闘の認識の違いを挙げることができると思います。
当時日本の主力戦闘機は零戦。対するアメリカの主力戦闘機はヘルキャット。 零戦は、個人技能を活かした格闘戦を得意とし、ヘルキャットは高位からの急降下を利用した一撃離脱戦法を得意としていました。しかも、アメリカの航空機(戦闘機)の運用は必ず2機一組で行動を行っていました。
結果は、零戦の完敗に終わりました。 航空機としての世代の違いや、防弾機能の違いなど様々検証すべき事項は多いのですが、ここで問題となることは、航空機の運用に対する双方の大きな隔たりということです。
日本はあくまで個人の技量にこだわり、最後まで一対一の個別戦闘で結果を求めました。 それに対し、アメリカは個人の技量は平均的でも組織的な戦闘による戦略的な結果を見据えて多対個の戦闘状況を作り出してゆきました。
戦略的な勝利を獲得してゆくためには、戦力を個の集団としてとらえるのではなく、面として把握し運用する必要があります。
日本人の個の能力を重視する傾向は、戦略的思考とはなかなかかみ合いません。 日本人の人気職業のトップに医者や弁護士のような個人にして大きな権能を備えた職業が占めることは日本人の気質を端的に示しているものと考えられます。
また、日本の政治家や経営者に戦略的視点を備えた人物が少ないということも、この日本人の気質と無関係ではないものといえます。
個人の能力の高さが組織の質を決定するという理論も一面の真理であるといえるため、どちらかが一方的に優れているという関係にはないものといえます。
ただし、組織的な活動を行う際の優先順を挙げるとするならば、やはり個々人の能力の高さよりも組織体としての能力高さが重要になるということは間違いないと思います。
自己の能力の向上を目指す気持ちは大切であると思います。 しかし、経営サイドに立つならばこの日本人気質を上手に方向付けしていかないと効果的な経営がなしえないものと考えます。
組織運用論がもっと日本でも活発になってほしいと思わずにはいられません。
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最近のニュースについて |
最近のニュースを見ていると、派遣労働者の解雇の問題が多数取り上げられている。
その論調は、派遣労働者の解雇はけしからんというものです。
確かに、契約期間満了を待たずに解雇するというのは労働法違反すれすれの荒業といえるものであると思います。
しかし、経営者の立場から言えば非正規社員の員数を不景気時に調整することはむしろ当然といえる決断です。むしろ、その時のための非正規雇用にほかなりません。
制度上合法な決断を違法であるかのような報道には疑問を感じずにはいられません。
これは国会において、非正規雇用を巡る法律を見直す必要があるという議論とはまったく別次元の話です。その点を混同してしまっては問題であると考えます。
報道に疑問を抱く最大の原因は、このような別次元の話を混同するような報道の仕方をする点にあります。論ずべき点はきちんと分けて行うべきなのです。
さらに言えば、経済の減速をいかにして回復するかという問題が最も大切な点であるのに、あえて非正規雇用問題をクローズアップしている点にも大きな疑問を感じます。
報道による大衆の扇動。 世論操作の原理が透けて見える最近の報道に大きな危惧を覚えます。
情報は広く多方面から得る。この原則を守っていかないとマスコミの手口に簡単に乗せられてしまうことになりかねません。 十分に注意してゆく必要があると感じます。
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